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オンライン辞書,Dictionary


No.166
作文
2016-04-27
出身: 日本
居住: オーストラリア
20代 女性
ログイン名: ゆず
タイトル:学生時代から始まる言葉遣いの困難
  私は高校二年生の時に、故郷の金沢の高校に一ヶ月間留学をした。そこで特に強く実感したのは、日本語の中に存在する言葉遣いのルールが人間関係を揺さぶり、複雑なものにするということだった。
日本では「先輩」と「後輩」という上下関係がはっきりしている分、言葉遣いのルールが厳しいことを痛感した。これは、年上の学生と一緒になる放課後のクラブ活動の時だった。私は、高校三年生の「先輩」には敬語を使うべきだという決まりを甘く見ていたため、「〜だね」「〜なの?」などの終助詞を使い、「はい」の代わりに「うん」と答えたりしていた。しかし、周りの同級生はまるで大人に話しているような言葉遣いで先輩と話していた。そして意外にも、先輩と後輩の関係である仲良い友達同士の学生でさえ、「あれ超笑えたっしょ!」「そうですよねー!」という様にお互いが使っていた表現が上下関係を表していた。
また、この言葉遣いのギャップにより発する会話の際のぎこちなさも経験した。私は、年齢問わず誰とでも気軽に話したかったため、日本から私のオーストラリアの高校に来た年下の留学生に「友達になろう。だから敬語使わなくてもいいよ。」と伝えた。しかし、時間が経っても彼女は敬語を使うことを辞めることはなかった。その為、彼女と話す時には年齢の差とそれが引き起こす社会的地位の差を感じるばかりだった。
この様に、年齢による上下関係が学生時代から常に強調されている日本では、言葉遣いが非常に大切となる。これが人々に距離感、混乱そして気まずさを感じさせてしまうというのが多くの人の悩みなのではないか。
 
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