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オンライン辞書,Dictionary


No.213
作文
2016-05-02
出身: 日本
居住: 日本
10代 女性
ログイン名: うーさん
タイトル:不自由な敬語
   日本では、立場や年齢が上の人に対し敬語を使う。話の主題になる人物や話し相手に敬
意を示すためだ。それはマナーであり、もし使えなければ、非常識な人間だとみなされて
しまう。相手を自分より上位の者だと認め、謙虚な態度をとれることは、すばらしいことだ
と思う。

しかし、この敬語使用を不自由に感じることがある。例えば、このような経験をしたこ
とがある。高校時代、私の所属する部活では、学校祭での飲食販売の出し物をしていた。その中に、ある先生が参加していた。大変気さくな性格で、堅苦しい作法や礼儀を好まな
い方だった。おそらく、敬語を使われることにも照れくささを感じていただろう。それで
も、私にとっては先生にあたる人なので、もちろん敬語を使うべきなのだ。けれども、敬
語を使うことにやりにくさを感じていた。立場は違っても、同じ目標にむかって進む仲間
だ。遠慮のない意見交換が欠かせなかった。敬語を使うことで意識する立場の違いは、よ
り良いアイデアを出す際に邪魔になった。

敬語を使わない話し方、いわゆるタメ口には、メリットがある。まずは、立場を超えた
友人をつくれることだ。異なる立場や年齢の人と深く関わることで、様々な価値観に触れ
ることができる。次に、議論の時に遠慮のないやりとりができる。本音の語り合いでなけ
れば、よいアイデアは生まれない。どちらも、相手が上の立場だ、と自ら発信する敬語表現では不可能なことなのである。

敬語の使用が必ずしも適切なわけではない。敬語は、相手との間に心の距離をつくってしまう。とはいえ、目上の人に敬語を使わないことにはリスクがある。たいていの場合、話し相手のみならず、会話を聞いている第三者までも不快にさせる。言葉使いの判断は、難
しい。

 
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