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大学生の間にしたいことと言えば、きっとそれは十人十色で、人の数だけ答えがあるだろう。自分探しであったり、あるいは何かを経験したり、学んだり、または今までの自分を変えたり、またあるいは今までの自分を貫いていきたい等々。枚挙に暇がないが、どのような未来でも自分から強く願える限り、それらすべて素晴らしいものだと思う。
私も二十年と少し生きてきたのだから、急いで叶えたいというものはパッと浮かんでこないにしろ、何とか絞ればそういう願望というか欲の一つや二つ挙げることくらい、できないこともない。だが考え直してみれば、自分には確実に今のうちにしておいた方がいいことが、一つだけある。それは、何かを愛し、夢中になることである。
二十年、その中にはきっと様々なことがあり、様々な選択を迫られてきたのだろう。他の人がどうなのかは実際分からない。だが私の目には、選択を経て、得たものを身につけ、失ったものを糧にし自分の「自分らしさ」を確立していく人が多いように見える。無論そうでない場合もあるし、失ったものに落ち込むこともあるだろう。それでも多くの人々は挫折から立ち直る。その姿は私の目には眩し過ぎるほど鮮明に映る。
私自身、前述したような過程をうまく経ていないと思う。というのも、大人になるという過程で、私が最も深く覚えさせられたことは「妥協」することである。そのため、私にとって選択するということは何かを得るためにではなく、何かを諦めるためにすることになってしまったのである。結局失うのだからと、一種の投げやりのような気持ちが際限なく増長し、最終的には選択することもどうでもよくなり、殆どの物事に身が入らなくなってしまったのである。
昔、「人生とは、まだ全て妥協し切れていない時間の長さを指す」という言葉を聞いたことがある。当初は全く意味不明であったが、段々分かるようになっている気がする。
子どもの頃、私にも愛を謳い、自分を貫くことが確か出来ていたと思う。これ以上大人になって、物事に夢中になる力が完全になくなる前に、自分の妥協できないものを見つけていきたい。
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