選択した文章の本文です。
No.344 |
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出身: 新潟県 居住: 神奈川県 |
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ログイン名: 朝陽 タイトル:伝える苦労、伝えられる苦労 |
僕のアルバイト先は、世界各国からの旅行客が訪れる場所にある。当然、日本語が喋れる程度にもひとによってばらつきがあり、なかには英語しか喋らないひともいる。
英語しか喋らないのならば、伝わるか伝わらないかは別として、こちらもなんとか英語で伝えようとすればいい。いちばん困るのは、「一応日本語を喋れる」という相手だ。 「ああ、このひとは日本語がわかるのだな」と思って話すのだが、日本語の複雑な敬語表現は、仕事上のマニュアルにごく自然に組み込まれていて、「相手の分からない日本語」を喋ってしまう。敬語だけではない。朝食と朝ごはんのような漢語と和語の違い、語尾を濁す言い方、「日本語がわかる相手」となると無意識に出てくる日本語の分かりづらさは無数にある。 かといって、日本語に精通したひとだったら、こちらの判断で平易な言葉遣いをするのは、相手に対する失礼と取られるのではないか、という不安もあり、なかなかこちらから簡単な日本語を使うのは難しい。 接客業である以上、相手のことをよく見て配慮をするのはもちろんだが、できれば、簡単な日本語で喋ってほしいことを教えてほしいと、僕の職場では考えている人が多い。 |
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